ご縁
遠方から来られていたご家族と数日にわたり短時間であるが会話をさせていただいた。
傾聴は、
いつでも、どこでもと言うわけにはいかない部分もあるが、
最も必要としているその瞬間を知ることで
「相手の人生も、ご利用者の人生にも影響を与えるのでは」と感じるからである。
会話の中から、
『昨日は、朝からご飯を食べたと聞いたが、今日は、全くダメだったもね」と。
相槌をしながらも、
外を見ると天気は曇りである。
「あー今日は、気圧の関係が作用しているかなー。雪が降るかもしれないねー」と
話をしていると
窓側に座っている自分に10分ほど経過したころ
「あ!雪がふってきた」と。
終末期に向かうご利用者の体は、
気候の変動にも敏感となり、
翌日の朝食時には、
澄み切った青空と同じように
覚醒し家族が持参したフライドチキンも
食していただき、
家族は、
それまでの心配事である最期の迎え方について、
訪問看護や
主治医の意見も頂戴し
そこから、さらに判断し、
「このまま移動することなくシンフォニーでお願いしたい」と。
娘として来訪する前から思案していた事柄を次々やり遂げていただいた。
ご利用者の覚醒からの言葉に家族は、
宝物を得たように感謝し感動し、
気持ちを残しながらも待たせていたタクシーに乗り
空港へと心の宝物をたくさん親よりいただきお帰りになった。