コラムが届きました。
★★★コラム1月号★★★
▼福祉対応の考え方は、一般社会のそれとは少し違うように思います。
仏教の教えに「因果応報」があります。
一般的には「人間による善悪の行いは、原因と結果が一致する」と訳され、全て自己責任と解されることが多いようです。
でも福祉の現場では、例え悪い結果が出た人でも、今が困っているなら、その解決方法を一緒に考えようとします。
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▼また、孔子の教えに「よらしむべし、知らしむべからず」がありますが、その意味は「政治は行政に任せておけばよく、国民はいちいち知らなくても安心して暮らせるように行なうもの」と福祉的な発想です。
しかし、徳川家康の時代に「知らしむべし、よらしむべからず」に変わりました。
「お上は必要なときにおふれを出すのでこれを聞いて良く実行しなさい、でも決してお上を頼ってはいけません」の意で、福祉と反対の思想表現になりました。
孔子が国民のために開いた儒教を、家康が主客を反転させ「幕府第一主義」に置き換えたことが原因です。
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▼中国の三国志では、曹操孟徳そうそうもうとくが劉備玄徳りゅうびげんとくの元にいる、有能な軍師徐庶じょしょを配下に引き抜こうと一計を謀り、自国領に住む母親の字に似せて「私も高齢になったので国に帰ってきて世話をしておくれ」と偽造した手紙を送りました。これを受け取った「徐庶」は「忠なれば孝ならず孝なれば忠ならず」と悩んだ末に劉備に相談したところ、劉備は即座に「孝行が第一です。すぐに行きなさい」と功臣で大切な「徐庶」を迷わず手放したそうです。
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▼以上三つの引用事例には、弱者と強者・国民と国家の関係が対比的に示されています。
最近、福祉やボランティアを説明するとき、この仏教や儒教事例を多く引用していますが、今日の競争社会における「福祉ボランティア活動の進め方」において共通項があり、理解を深めるのに役立てています。
福祉活動専門員 川窪政俊