この世は無常
この世に
生まれ出るときには
何も持たず誰のことも考えず
無で生まれてきたこの命
この世の空気を吸い
驚き
泣き叫んだことから
人生の旅が始まり
いつしか 命は永遠であるかのような錯覚をもち
家族という形態のなかで
我が子を懸命に育て
ある人は夫に先立たれ
子供をよそに預け寂しさと戦いながらも
「頑張らねば」と強く自分に言い聞かせ
ただ、ただ子供と生きる為に働き続けてきた人
離れ離れになりながらも
必死で育てた子供は立派に成長し
若夫婦の為にと出稼ぎに行った母親が
老いて戻ったときには
自分の家ではなくなり
幼子と別れて暮らしていたときのように
寂しさと戦いながら暮らしている
一瞬である人生の旅の終末は
せめて家族から温かな眼差しをいただき
この世に誕生したときのように
何も持たず
心は軽やかに
天に向かって「最後まで生きてきました」と
きっぱりと伝えられる生ききる支援をさせていただこう