詩の力
詩はその人のもっている感性と
今、抱いている感情によっていかようにも変化させ
詩から自分自身にだけに訴え、共鳴してくるものがある。
この年で、今の自分が刺激的な詩と思わせていただいたのは、
茨木のりこさんの詩である。
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自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のりこ