人生と音楽
フジコヘミングさんや室井 摩耶子さん等のピアノ演奏には
生きて来たこれまでの深みが曲想に表現され
音の伝わりは
人生の句読点のように
じっくりと心に奥深く響いてくる。
老いていくと、
自信を無くすことが多くなり
自分と言う元の自分を取り戻そうとする自分がいるが、
お二人からも
毎日、ピアノの練習があることや
フジコヘミングさんは
保護猫の為にもピアノを演奏していると言う目的をしっかり持たれている。
また、今の年齢に到達したからこそ
数年前には気づかなかった
演奏からの新しい気づきがあると言う。
テンペスト第三楽章(ベートーベン)は、
これまでの演奏とは、また一味違うなーと感じさせていただいたが
年齢を重ねる事は、
これまでの自分を熟成させることであり
第一楽章の誕生からの力強さから
第二楽章の青春
第三楽章では、味わい深いものが表現され
第四楽章で
今までの生き方からの総仕上げの時期に入り、
これまで成し得なかったものへのスピードアップした挑戦と
荒削りの人生を整える時期か?と思えてくる。
人生への見方を変えると
昨日までは全く気にもしなかった
立てかけてあるお琴は、
実家を壊す前に持ち出した数少ない荷物の中の一つであるが、
母が苦労して購入した経緯も蘇り
弦を直し
音合わせを行うと
学生時代のフルートよりは
音も出しやすいなーと急に身近に感じてきた。
音楽は、人生に最も必要で、
心が躍るときでも
哀しみの真っ只中にいるときには慰め励まし、
知床旅情の
歌詞や
メロディーを改めて聞かせていただくと、
遭難された人々と
ご縁はないが、
なぜか、
申しわけなさが沸き上がり
鎮魂歌のように
オホーツクに住む自分には響いてくる。