修行

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修行は、いつでも、どこでも心を開くと実践ができる。

 

昨夕、若者の経営する店で案内された席よりも奥の方へ「こちらでも良いですか」と尋ね夫と共に座らせてただいた。

 

 

 

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おもむろに席から四方を見渡す。

 

どうも施設の中での癖がついているようである。

 

何気なく右横の観葉植物が気になる。

 

 

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良く見ると瀕死の状態である。

 

ここから、私の修行が始まった。

 

 

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何と伝えて、この観葉植物へ水を届けてもらえるだろうか・・・

 

 

雑誌を読むが頭は観葉植物の水やりだけである。

 

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伝えて気分を害されるとせっかくの食事がまずくなる。

 

何だか、そばの植物から年寄りと同じような訴えが聞こえてくるような気がする。

 

 

 

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よし!結果は水を植物に届けてあげることだと目標を設定する。

 

 

第一段階、若者がテーブルに水を届けていただくが、チャンスを逃す。

 

 

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次のチャンスを伺う。今だ!!

 

 

「この植物、これはお水の加減がたいへんでしょう・・難しいですよね」・・とまず、相手に敬意をはらう。

 

 

 

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「あー、これですね。」(若者の嫌な感情はしない)

 

この植物、たっぷり水を下から吸わせると良いですよねー。

 

「あーそうですか!こちらにも目が行かなければならないですよねー」と謙虚である。

 

 

 

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「このお水でもいいのですか・・」と持参している大型の水を差し出す若者。

 

 

夫は「冷たいのは、だめだ」というが、この機会を逃すといつ水をいただけるかわからない。

 

 

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「いいです!いいですよ!」と、嬉しくて声少々高々に伝える自分がいる。

 

 

次第に若者と妙な親近感ができつつある。

 

 

 

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若者は席に立ち寄り「これはただ、くるまさっているだけなのでしょうね・・」と質問される。

 

 

チャンス!と植物を今風に梱包している中に手を入れさせていただく。若者は植物を持ち上げる。

 

 

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水の受け皿もなく根が丸裸で乾いている。植物の悲鳴が聞こえてくるようである。

 

 

あーこれは可愛そう・・今は少しずつあげてね。大きなバケツのような入れ物にたっぷり一晩いれてあげましょう。

 

 

 

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若者は素直に「そうですか!」と受け入れてくれる。

 

 

しかし、本当に実行するのかが心配。

 

更にレジで若者から「今度いらしたときにはちゃんとなっていると思います。」と言うメッセージをいただく。

 

 

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「そうね。今が生死の分かれ道だから大事にしてね」と植物も瀕死の状態から子孫を残そうとしている緑の新芽を見つけ伝える。

 

 

若者は、生死の分かれ道と聞いて更に驚いている。

 

 

生死は人のみならず、観葉植物も同じであるが、そのことが理解できるまでにはもう少し時間がかかりそうな様子であった。

 

 

 

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しかし、若者はすがすがしいほど聴く耳をもち、顔色一つ変えることなく笑顔で気持ちが良い。

 

 

伝えることに臆病になり、自分を守ろうとしていることが先に立つ私達にも責任があるのだろう。

 

 

 

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更に余計な一言を、

 

「あの植物を元気に生かすことができたら、この店はますます繁盛することでしょう・・」と。

 

 

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若者と店主らしき若者に送られ昨日夕の修行を終わらせていただいた。

 

外には、まあるいお月さまが顔を出していただき一日に感謝させていただく。

 

 

 

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