認知症の日々の講義の中から
昨日は2級ヘルパー養成講座において認知症の理解について3時間の講義をさせていただきました。
在宅の要はヘルパーさんであり、プロの介護者にとって福祉の基本を身につける場も在宅への訪問介護が一番であると思っています。
ひとり一人の要望が違うお宅へ訪問し、挨拶で交わす言葉のアクセントや強弱、体全身から漂う気配などを瞬時に察知し次の言葉かけが決まります。
今や要介護認定の約半分は認知症と言われています。
訪問介護の個別の場だからこそ、その人独自の個人史から会話を導き、今は一人では出来なくなった料理を共に支援を行いながらつくりだすことも、
個別の在宅においての”食とつくる楽しみ”となり、自宅においてつくりあげた達成感から満足感に満たされます。
認知症ケアは、あれも、これもと親切心で全介助を支援すると、せっかく”残された力”まで奪うことになります。
いくら高価な薬を服用しても効果は半減するでしょう。
薬と介護効果を併用することが一番の効果があり、そこに医療と福祉の連携が始まります。
いつまでも、その人らしく生ききる権利は、
大きな事でなくても日々の介護の中に於いて、どのように力を残すことができるのかと考える事により、尊厳がぐっと身近になります。
「辞書では権利擁護とは、自己の権利を表明することが困難な寝たきりの高齢者や、認知症の高齢者、障害者の代わりに、代理人が権利を表明すること 。」
日本国憲法では、認知症になっても障害者になっても誰もが永久に侵す事のできない権利(基本的人権)として、すべての国民を保障しています。
認知症の人の権利擁護も日々の介護の中に照らし合わすことにより、
介助、支援という温かなイメージの言葉の陰に隠れた全介助によるダメージが共存していることに気づくと、
介助を受ける人にとって何よりの権利を擁護することとなります。
視点の置き方により今までの思考回路を見直す事も大事なことだと思います。