大学15. と 徳のある家
曽子(そうし)曰(いわ)く、十目(じゅうもく))の視(み)る所(ところ)、
十手(じゅっしゅ)の指(ゆび)さす所(ところ)、其(そ)れ嚴(げん)なるかな。
富(とみ)は屋(おく)を潤(うるお)し、徳は身を潤す。心廣(こころひろ)く體(からだ)胖(ゆた)かなり。
故に君子(くんし)は必ず其(そ)の意(こころばせ)を誠にす。
孔子の高弟、曽子(そうし)が「多くの人が注目するところ、多くの人が指摘するところは厳正だなあ」と言われた。
富は家をうるおし徳は身を潤す。従って心は廣く、体ものびのびする。
故に君子は必ず自分の意識や感情を正常にするように努める。
※富と徳を具有することを両潤(りょうじゅん)と言い、両潤庵や両潤軒等家の雅号に使われることが多い。
「大学」を素読する。引用
どのような職業においても、できたる人物は自分に厳しく、多少のできごとに心を動かすことはないのだろう。
世の中には、せっかく金銭が身についても最後まで金銭に拘束される人がいるが、わずかの金銭でも十分に活かし活用している人もいる。
徳は同じように側まで近づいても心の在りようで徳は逃げていくことがあるのだろう。
母が幼い頃、「あの家は、先祖に徳がある人がいた」と言っていたことがあるが、それが後世に残す心の財産なのかとこの一説から思い出す。