留魂録
「留魂録」(りゅうこんろく)は、幕末長州藩の思想家である吉田松陰が、
処刑前に獄中で遺書とも少し違い和歌一首、日付に「二十一回孟士」と署名され宛名はありませんが、
松下村塾の門下生にあてた決別の言葉であるといいます。
「今日死を決するの安心は四時(四季)の順環(循環)に於いて得るところあり」
この章は、人間にも春夏秋冬があり十歳にして死ぬ者には十歳の中に自ずから四季がある。
二十歳には二十歳の四季、三十歳には三十歳の四季、・・・
百歳にも・・・・・自ずから四季が備わり、ふさわしい実を結ぶのだと・・・・
獄中で、刻々と近づいてくる死との対決を克服した穀物の四季の循環に例えたこの死生観に達する松陰。
「今日死を決するの安心は四時の順環に於いて得るところあり」
「留魂録」は、ひそかに門下生のあいだで回覧され師の遺志をつごうとする門下生のバイブルともなったとあります。
身はたとひ武蔵の野辺に朽(く)ちぬとも
留(とど)め置(おか)まし大和魂(やまとだましい)
全訳注:古川 薫 講談社学術文庫吉田松陰 留魂録より引用
人生の場面において最後の対決は自分であり、
その自分の中の鏡と、合わせ鏡が一致するような人生を歩みたいものだと思わせていただきました。