傾聴

傾聴

今年は、

スタッフ等と多くの話を聴かせていただいている。

親や家族のことが多いのも超高齢社会の現実である。

仕事以外のことが多いが、

課題解決策を講じるわけでもなく

傾聴に努めるのだが

この傾聴は、相手の存在を認める働きとなり、

たとえば逆に

否定的な目線で粗雑な対応をすることで、

相手は、その人の人生そのものを否定されたように感じるだろう。

肯定的に受け入れることで

認知症を患う人であっても

認知症の人の気分の変化も少なくなる。

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グループホームでは、

表情が曇った高齢者がどこかへ行きたい様子であった。

ちょうど、その場面で

『あらー』と過去情報からのことばを届けると、

ご自身の頑張っていた場所を思い出され

着ている和服の上っ張りが素敵で褒めさせていただくと、

『 いいしょー。これねーつくったんだよー』と、

『そうですかーこれは、そうとう品物がいいですよ!』とことばを届けると、

当時を思い出され会話も成り立ち、

やがて、

曇っていたお顔もやんわりと笑顔が出始め、

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『そろそろお昼ですね・・今日はどんなごっつおうでしょう!お姉さん頼みますよ」と

砕けた言い方で話すと

スタッフも

周りもその方も笑い出し、

手を繋いで歩き出すと、そのご利用者の席に他の方が座っており

『どこへいけばいいのだろうー」と、

自分の座る場所が不明だった事が判明した。

ほんの数分の出来事である。

存在を認めること

頑張っていた人生を思い出すことで

その人の人生が蘇り

再び生きていく力を再燃できる。

ことばが成り立たなくても傾聴と丁寧な介護は一体のようである。

スタッフも会話する事で

自分と言う存在を自ら確認し

話すことから自己解決方法を導き出すことや

解決できぬことでも

詰まっていた心に新鮮な空気が入るのだろう。

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傾聴は、よりよい家族との関係をつくる場面においても、

友人や

ご近所でも

学校の先生にも、

親との対話にでも

自分から始まった人生を豊かにする肯定的なコミュニケーション技法である。