横浜生まれのBさんの頑張り
横浜で生まれ育ったBさんですが、
嫁いだ先で初めて土と触れあうこととなったその手は、
長年の過度な疲労からの軽度拘縮や80才を超えた年齢や認知障害から視空間の感覚が衰え、
ごはん茶碗から上手くはしとの距離がつかめず生活全般の意欲も減退しておりました。
ご家族の面会から落胆してお帰りになる様子からも、
「何とか意欲の向上につながるものはないか」と模索していました。
まず、人間の三大欲求である食事の意欲を取り戻そうと、
器を安定した5センチほどの縁のある器へ変え、
何度か口まで運ぶ動作をさせていただきました。
すると、自分で食べることができたその日から言葉数が多くなり、
今では、スプーンを使い縁を利用し一人で食事を楽しまれるようになりました。
残存機能の活用は意欲の向上への刺激となり、
日中の覚醒時間と結びつき、
食事を楽しむと同時に、
テーブル向かいの方へ積極的に話しかけることが出来るようになりました。
なぜなのだろう、
良い方法はないのだろうか、と思う介護者の気づきは、
その方が、今まで歩んできた人生の質を大事にしようと認めると、
生活の質を少しだけでも高めることができました。
「やってみせ、いってきかせ、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ」の、
山本五十六さんの言葉を柔軟に、
自分の事業所らしく取り入れると、
口だけでは伝わらなかった大事な部分が自然とスタッフの心に入りました。
しかし、柔軟な中にも基本は伝える側の自らの行動が必要でした。