心遣い
年齢を重ねていくと、
物やお金だけの喜びだけではなく、
一番の喜びは金銭に換算できない喜びが一番なのかと、
精神的な支えがいかに必要であるかをあらためて知る機会を得た。
年末に母の所へ届いた思いがけない身内からの手紙は、
母にとっては大きな喜びとなり、
その嬉しさは正月の来客へ伝えるごとに更に喜びが大きくなっている様子である。
エーデルワイスのご利用者の中にも息子さんからの1本の電話や、
年に1度でも子供さんからいただく手紙で、
生きる力が加わったように、
何度も、何度も表情良く話しを聴かせていただける場面がある。
今のことは、忘れる病気であっても、
不思議に感情が伴った嬉しい思い出は、
記憶の糸にしっかりと結び玉がついたかのように数日間笑顔で暮らすことができる。
日常においては、
あたりまえのように形に残る贈り物ばかりが浮かんでくるが、
心の奥底に届く物は短い1通のハガキや手紙であり、
それでいて金銭はほとんどかからない安価な物が、
一番、負担をかけずに心にしみいるものなのかと、
間接的に耳に入ってきた母の喜びようからあらためて感じた。