センター試験と高齢者施設
塾長の南船北馬より先日のセンター試験・国語の問題が会員に送られてきた。
内容は、民家改修型の高齢者施設と自然な生活について書いた『論文』である。
グループホームやデイサービスという名称が一般化され、
センター試験にまで登場するようになったことに介護現場の自分たちでさえ驚きである。
民家改修型ならではの空間だからこそ、そこに初めて集う高齢者にとっても居心地の良い按配をかもし出し、
すべてを用意された空間からは味わうことのできないその人の自然の力と遭遇する。
著者の鷲田清一氏は、大阪大学総長であるという。
鷲田清一氏の「弱いものに従う自由」からも考えることができる。
確かに生まれたときから誰かの世話になり多くの人々はやっぱり最後は誰かの世話になって最後を遂げる。
母親の働きからも考えさせられる。
生まれたときの24時間の授乳とオムツの交換、
風邪を引いたときの必死の手当て、
入学試験のときの、それとなく心配が伝わる様子と見守る力、
100歳になっても80歳の子供を案じる力等、
もくもくと家庭の暮らしを立て、身を粉にしている母親の働きは報酬の伴わない無償の働きである。
母親の働きは傍を楽にする働きと学んだが、この働きに勝つものはないだろう。
弱いものがいて、少し元気な人々が助け合う暮らし、
弱い人が生き生きと生きていく暮らしのなかからこそ母親の働きのように心の底から湧き上がる喜びという報酬が訪れる。
しかし世の中を良くしようと思ったならば、いくら一人で訴えても力なき正義は無能であり、
正義がないものを無理に押し付けることは強制することとなる。
それゆえ正義には、ある程度の力が必要になってこそ相手にも心地よい時間を提供できるのであろう。
3 ホスピタリティ――弱いものに従う自由
http://www.isc.meiji.ac.jp/~nomad/washida/hospitality.htm