笑顔に涙が出ちゃう・・と、
自宅において長いこと認知症のお母さんを看ていた娘さんが面会にいらっしゃいました。
とっても、落ち着いた笑顔で出迎えることができました。
認知症の進行から娘さんの見分けも困難となり、
つい先ほどまでは、排泄をしたくても行動と尿意のバランスがとれず、
不快感から廊下を行ったりきたりしておりました。
スタッフは排泄パターンから見守り介護に徹し、
無理にトイレに連れて行かず、廊下を通るたびに自然と誘導ができるように、
トイレを先にあけておきました。
30分の往来の見守り時間の後、
軽い誘導でトイレに入り排泄をすることができました。
認知症が進行すると、トイレの場所も何をするところか不明になることや、
食事途中で箸が止まっても食事をたべたくないのではなく、
食べることを忘れてしまっている場合が多く、
そっと優しい言葉かけと、
利き手をそっと握り共に動かし口まで運ぶ動作で、
食事を食べることを思い出すことができます。
自然排泄も終えた利用者さんは、
すっきりと、
落ち着いた笑顔で娘さんを迎え入れることができました。
娘さんは笑顔で迎えていただいた喜びにあふれんばかりの笑顔で
おかあさんに優しく言葉をかけることができました。
認知症という病気は、本人と家族の関係を悪くさせ、
姉弟の関係までをも、
悪化させてしまいます。
でも、
本当は、大事な父さん、母さんであり、
落ち着いた笑顔の両親に出会えたときは、
懐かしい子供の頃の父さんや母さんに出会え、
名前を思い出し呼んでいただくと、
家族の寂しかった心は嬉しさでいっぱいになります。
家族の心が満たされると、
認知症の人のこころまで穏やかなります。
被災地においては、
他の病気よりも、
特に認知症という病気のことで
家族は肩身が狭くなりがちであります。
自分の肉親だと思い、
そっと優しく言葉をかけていただくと、
認知症の人の乾いた心が潤い、
落ち着きを取り戻します。
記憶は忘れても感情は残り、
「いい人だなー楽しいなー」と思った感情から、
顔を見るだけで手を振って喜んでいただくこともあります。
この世で、
その場で、
一緒に暮らすのも縁であり、
互いの縁を良きものとしてつむいでいくことができたなら、
大きな徳を積むことになるのですね。
娘さんが、帰り際に手を振ると、
手を振り返すお母さんの姿に、
涙がでちゃう・・と、
久しぶりに母さんの優しさに触れることができました。