詩集 のに
相田 みつを美術館
詩集
のに
あんなに世話を
してやったのに
ろくなあいさつもない
あんなに親切に
してあげたのに
あんなに一生懸命
つくしたのに
のに・・・
のに・・・
のに・・・
(のに)が出たときは ぐち
こっちに(のに)がつくと
むこうは
「恩に着せやがってー」
と 思う
庭の水仙が咲き始めました
水仙は人に見せようと思って
咲くわけじゃないんだな
ただ咲くだけ
ただひたすら・・・
人が見ようが見まいが
そんなことおかまいなし
ただいのち いっぱいに
自分の花を咲かすだけ
自分の花をー
花は ただ咲くんです
それをとやかく言うのは人間
ただ ただ ただー
それで全部
それでおしまい
それっきり
人間のように
〈のに〉なんてぐちは
ひとつも 言わない
だから 純粋で
美しいんです。