海のおじさん
大漁だ・・! 大漁だ・・!
海が待っていてくれた!
はちきれんばかりの笑顔で おじさんは網を引く手を休めず
船底に足が吸い付いているかのように
ぐいぐいと網を力強く引いている
海から襲ってきた津波であるが
海は後悔したように すまん すまんと たくさんの魚を集め
おじさんに やる気と勇気を与え
まるで おじさんは魔法にかかったように
懸命に網を引き
大漁が悲しみの全てを拭い去ったかのように
いきいきと 魚と共に丘に上がってきた
海の男達が 海の側から離れたくない理由は
学者等が安全理論を何度も何度も熱心に唱え
被災から 懸命に耳に届けと伝えるが
海の男らは幾世代も語り継がれた 海の男の悟りをもち
どっしりと構えている
今までの心の計りで 測定するのだけれど
やっぱり おじさんを計ることは 測定外となってくる
海の音を聞きながら 深く 深く漁師の おじさんになったつもりで
イマジネーションを働かす
おじさんは 本当は どんな人なのだろう
どんな人生を歩んできたのか
おじさんにとって 今の大津波の被害は どのように映っているのだろう
家族はどうか
一番 困っているものは 何なのだろうと
背景・直接要因・間接要因などを 明らかにする為にはと・・・
深く 深く 考えていくと
少しだけ見えないものが見えてくる
まるで認知症介護と同じである
正解ではなくても 相手の その心に近づくことができる
おじさんが 波の音を子守唄代わりにいつまでも眠れるような
地震にも想定外の津波にも強いシステムの整った家をつくり
道路をつくり
自然を守ることを考えればよいのだろう
今まで四方が海に囲まれ 地震大国と言われ続けた
日本なのだから
ともすると
想定外は いつまでも 繰り返される 想定外になるのだろう
不思議である
思考回路の変革は
地球という共同体は 人々とのグローバルなコミュニテイから
何年か後には必ず日本から つくることができそうな気がしてくる
理屈ではないもの
言葉にならないもの
形が無くて目に見えないもの
それが本当は一番大事な理由であるが それを知ろうとしないのは
小さな枠の中で 正解を求め 高得点をとることが優秀と認められた教育は
高得点がとれなかった自分でも
その評価方法だけは しっかり身に着き 大事な学習を忘れても
その評価方法だけが日常に一人歩きをしている狭い自分と結びつく
そのような思考回路で考えると
市場で はねられた 曲がったきゅうりも でこぼこのトマトも
規格外になる理由が よくわかる
サンベル教授から形にならない
見えない大事なものの視点の 当て方を学ばせていただいた