香りから記憶が高校合宿中の自分へと
届けられた新刊を読んでいるうちに
つづられた文章と
窓から入り込む野菜畑の匂いが入り混じり
ふと
高校の吹奏楽合宿の為に
朝食の準備をしている家庭科室の匂いへと記憶が蘇ってきた
コンクールに向け 定期演奏会に向け
夏休みも冬休みも無くひたすら集中した3年間は
青春期の無我夢中の3年間であったが
これが 人生の土台をつくっていただいた貴重な時期だったのだと
改めて顧問の先生方に感謝が沸きあがる
人は臭覚からも記憶として脳に留まることができ
蘇った懐かしい思い出は
心の中に穏やかな満足感が広がっていく
匂いの記憶は 心内までコントロールする力をもっているのだ
それならば せめて 子供や青春期
いや
年長者になったからこそ
大事な一日や
喜びのあふれた一日の香りを
あえて 脳に記憶しておこうと思うことだけでも
脳は全開で 嬉しい・楽しいと湧き上がる感情と共に
記憶に留めようと働き出す可能性もあるだろう
脳はダメージを受けた場所の代わりに
力の残された脳が代わりの働きをするというのであるから
人生の最後のときに
よき思い出となって 香りから
自分をふり変えることができるのかもしれない
そう考えると
高齢者の日々の生活において
香りを大切にする根拠が湧き上がってきた