初めての通所
父や祖父母等に励まされ
母親にしっかりと手を引かれ校門をくぐった入学式。
木造で歩くたびにギシギシと音が鳴る大きな廊下を
「緊張すると心臓がドキドキするんだ」と初めて体験しながらも
背筋を伸ばしようやくたどり着いた初めての席。
心配していた隣の席の不安も消えるような笑顔の出迎えに
ふわっとした思いで椅子に腰掛けることができたあの頃、
あれから、70年以上の月日が流れ
あのときの、あの笑顔の友が今、不安そうな顔つきで紹介されている。
「お返しをするのは今だ!」と瞬間に思いついたのだが、
心細かった当時の感情と
走馬灯のように過ぎ去った人生が映し出され
笑顔なのに知らないうちに涙がすーっとこぼれ落ち、
互いに声にならない声で強く握手を交わしてた。