皇帝ペンギンと命
南極で生き抜く皇帝ペンギン、
極寒の劣悪な自然は、
命を託された父親は、
マイナス40度から命を守る為に互いに身を寄せ合い大きな塊となって
少しずつ少しずつ移動をし
温まった中心のペンギンがずれ、
外側で寒さに震えるペンギンを内側に入れていく。
子育て中の父親のお腹の中から母親のお腹への移動も失敗すると
命を落とすこととなる。
父親が卵を温めてから物を食べずに3ヶ月。
ようやく餌を求め海へ出かける父親へ叫ぶ子の声を聴き振り返る父親。
母親のお腹で子は両手で別れを惜しむように、つばさを振っている。
無常にも我が子の命を失った母親ペンギン等は、
はぐれた子供のペンギンの後を追い列を成すように増えていった。
夫婦で命からがら守り抜く子育て、
いつまでも追い続ける亡き子への幻影
この世に生を受けた全ての生き物は
限りない子への愛情を慈しむように授かってきたのだろう。
この一瞬が過去となり
未来が今の瞬間となり時がまた過ぎてゆく
「ローソクの炎ように寿命は命を燃やす」とあるが、
「今、本当に大事なものは」と考えると、
人と争っている場合でもなく
偉そうに振舞う場面でもなく
暮らし以外の大きなお金を動かすことでもなく
金やダイヤでもなく、
家族であったり
共に生きる仲間であったり
大事なペットであったり
ご近所との笑みであったり
何よりも大事なのは、
いかようにも生きているからこそ
自分を役立たせる命が一番であり、
最後まで命の炎をあきらめずに燃やし続けることが
限られた時間を全うすることになるのだろう。