春の兆しと大地の轟
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春の足音が近づいている
ふきの葉の下ではコロポックルが小躍りし
アイヌの人々はムックリを奏で
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和人の人々は
馬にまたがり背筋を伸ばし小さな体を大きく見せ
バリトンのような重厚な声で鼻歌を謡い
馬の足音はメトロノームのようにパッカパッカと
春の調子をとり
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後から少し遅れて
タコ部屋の人等や
政府軍に負けた士族の人々や
囚人の人等が
やっぱり
春のリズムに誘われて
道端の福寿草に優しいまなざしを届け
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次第に
どの大地の音よりも強くたくましく
山にこだまするような大きな声で
シベリアへ帰ろうと立ち寄った白鳥には
気をつけて帰れよーと
親からいただいた声を思い出すように叫びだすと
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それまで重かった脚は
すっかり軽くなり
春の風に飛び乗って清く澄んだ美しい声で
パッフルベルのカノンを軽やかに口ずさみ
大きな羽を縦横無尽に
大きく羽ばたき
北海道の大地の空を神々と共に舞いだした
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春の北海道は
自然への感謝と
親への感謝と
先人への感謝が交差し
天の方では
今年の実りについて
お日様といっしょに
むずかしい会議を始めだした