地域のケアマネの働き『出会いと別れ』
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日曜日に『じいちゃんを何とかしてほしいんです』と
亡き友人の娘さんから、
せっぱつまった声で電話が入った。
訪問すると、
元気な頃の面影は無く、
小さく小さくなりベッドに横たわりながらも
『娘も世話になり、自分も世話になるね。
すみませんと』
感謝とお礼の言葉を
しっかり届けていただいたが、
娘さんにお世話になったのはこちらの方である。
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ご家族へオムツの当て方、使い方、
簡単な交換の方法、介護保険の流れを説明し、
ケアマネをお願いしたいとの申し出から
事業所居宅所長と連携をする。
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連絡が入る前に、
長年かかってる医師も往診に来てくれたと情報あり、
介護保険の主治医はいらっしゃると判断。
食欲を聞くと『それが何でも食べるの。
じいさんはおかゆは嫌いでかたいご飯がすきなんだ』と。
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月曜日には介護保険の申請を行い、
本人が起き上がることができず、
妻が体を起こし本人は何とか紐を使って体を維持する状況の為、
90代の妻の介護は共倒れの危険があると判断。
訪問介護やベッドの調整等を
看護の資格を持つケアマネが担当することとなった
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しかし、
なんと、
その2日後、友人の父は帰らぬ人となった。
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サービス開始前に、
日に何度となく娘さんから電話をいただいていたのは、
これから担当しようとするケアマネであった。
早朝から訪問すると意識はなく、すぐ救急車を依頼し、
指示により心臓マッサージを始めた。
グループホーム・デイサービスと
経験豊富な看護の資格をもつケアマネである。
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また、働きながら介護を支援していた娘さんは
救急車へ乗り込み
ケアマネも搬送先へ駆けつけた。
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病院での死亡が確認され、
警察との内容確認を行い、
在宅確認の為、
ケアマネが病院で家族の代わりに
亡くなった本人の側に立会い
娘さんが病院へ戻り終了した。
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残された友人の母にとっては、
数日の出来事が夢のような出来事だったことだろう。
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介護保険は一切使用せず、
介護保険の保険料を支払い続けた人へ、
最期にお世話をさせていただけただけでも
ありがたかったのかとも思えたが、
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担当するはずだったケアマネのきめ細かい働きに
亡き友人の顔が浮かぶと同時にケアマネに感謝が湧き上がった。
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ケアマネの働きは、
なかなか認めてはもらえない部分があるが、
このような無償の働きを
全国中で行っている
ケアマネもいることを
知っていただきたい思いから紹介させていただいた。
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搬送先のDrから、
『大往生ではなかったですか。
病院へ早く来てても苦しみが長くなるばかりだったかもしれません』と、
お言葉を娘さんに届けていただいたという。
Drの言葉は神様からの言葉のように
残された家族へ伝えられたことだろう。
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お父さん、やっと頼りにしていた娘さんと会えますね。
よろしくお伝えくださいね。
最期にご縁があり嬉しかったです。
ご冥福をお祈りします。