孝行は自分の足元から
ホームのお年寄りには、珍しいものを食べていただきたいと、
子供のころ、親がしてくれたように、
羊羹や大きな紅白饅頭を目の前で切らせていただくと、
「昔し子供の頃こうして食べたよね」と食事が終わったあとでも「おいしい、おいしいね」と笑顔で思い出と共に食べていただけます。
出張で珍しいものを見つけると、これも、あれも食べていただきたいと思いがつのりますが、
ふと、忘れるのが親のことであります。
年老いた母親は健康で病気ひとつしたことがありませんでしたが先日、初めて受診をすることとなりました。
受診は気持ちの低下を招き、悪いことに父親との思い出の深い大きな金庫も壊れてしまいました。
金庫にはたくさんの思い出がつまり、
大きな仕事を成し遂げてきた時の喜び、
子供たちの人生の節目時に親として、あれやこれやと考えながら共にそばにあった金庫、
「そんなのいらないよ」と断っても「父さんが働いてくれたのだから」と娘達に残してくれたもの、
金額ではなく、その心に触れた時の満たされた心と大事なもの、
亡き父親が日ごろの行いから伝えていた身内が仲良くすること、
先祖への感謝と共に、まずは自分の足元から親孝行を行うことを「壊れた金庫」から思わせていただきました。