代わりに働く力と、痛さを感じないようにする力
*
現場では、
記憶は忘れるのだが
認知症の人が感情の記憶に残されている
映像や
その場面から
湧き上がってくる言葉から
人の不思議な力を見せつけられる。
*
・
人には、
まだまだ、解明できない不思議なものがあると考えると
いかなる場面でも
あきらめずに
挑戦することも必要なのかと思う一方で、
*
◆
在宅の介護者は
これが普通なんだ
自分だけではないんだ
みんな介護している人は、こんなもんなのだ・・と
自分に言い聞かせ
感じないように
『随分、工場で働き続けたんだよ・・・』と、
元気だった頃の夫の姿を回想し、
三日間も続く妻への非難の言葉を浴びながらも
一日、一日を積み重ねている。
・
『他の力を借りましょう』と、そっと手を握り締めると
何枚にも覆われていたベールが落ち去ったように
ポロポロと
真実の苦しみと
涙があふれてきた。