母
夜になると寂しくなり
家に帰りたくなるご利用者。
昨日は、
話をしっかり拝聴し本人の希望を聞かせていただいた。
しばらく誰とも会っていない。
母さんは、どうしているんだろう?と、
不安から手を握ると握り返してくる。
今の時代に戻るように、
会話から今を語ると
樺太引揚者であることを教えていただき
大きなホタテがあったでしょうと、
過去に同じように
樺太引揚者から聞かせていただいたポジティブな話を届けると
「こんなねー」と両手で大きさを示し
大きな笑顔となり
姉妹の話になり、
娘さんの話にまで落ち着いてきた。
頭の隅に少しでも記憶が残るように
娘さんに依頼し、
ホーム事務所で二人だけの時間を楽しんでいただき
用意させていただいた煮込みうどんを二人に召し上がっていただいた。
娘さんも
驚くほど食欲が進み
食べに行っても
これほど、食べたことはないと。
ご利用者は
『悪いことしなかったら
こんないい日が来るんだね。」と、
心がしんみりする時間をいただいた。
次回は、
カレンダーに印をつけ2月3日の誕生日には
再び
お越しいただくことで
昨夜は、
階段の往復もなく
大声も出さず
ぐっすり休むことができたと報告が来た。
坂村真民
母上よ
母上よ
今年もあなたに会えず
今日で終わろうとしております。
何という不幸者でしょう
何という恩知らずでしょう
今年はお会いしに帰ろうと思っていましたが
いよいよとなると決心がつかないことばかりです
この貧乏をおゆるしください
すべては詩に執するわたしからくるのです。
坂村真民 (念ずれば花ひらくより)