心穏やかに

現場に入ると

〇さんは、夫の名を呼び大きな声で呼びかけ続け周りの人等も迷惑そうな気配である。

その勢いは、足が不自由なのだけれども階段を上がる勢いである。

 

やりきけれない今までの人生を戻してくれと言わんばかりに叫んでいる。

管理者等には

あんたらは悪くはないのだとも。

大きな声を叫びながらでも夜も寝ないで壁をはたいても、その悔しさは理解されている。

 

その後、大声で泣き疲れたように車いすに肘を立てうつむいてる。

何も届ける言葉はない。

ただ『苦しいでしょう。辛かったのでしょう。』と心の中で認めさせていただくのみで、

 

 

おもわず、

タクティールのように背をなぜ、

無意識に頭を

触れるか触れないか程度になぜさせていただくと、

 

 

〇さんは、車いすに座りながら斜めに構え腕をたてていたが、

その後、

学校の机にひれ伏すように嗚咽しながら

数分間の眠りについた。

 

苦しい時には、言葉はいらず〇さんは、重たかった人生の重荷をわずかであるがおろし始めた。

 

ケアは、特別な手法はいらず相手の心によりそうもので、

その後は、管理者から一番気になっていた物をキーパーソンと話をつけ

主導権を得る為に本人に渡させていただいた。

 

 

すると、

施設長、初めてです。「にっこり」笑ったんです。!と。

介護者の心の奥にも光がさしこんだようである。

 

 

満足ではないが慈しみの心を届けることで

わずかなやすらぎが訪れたようである。

 

 

夫に従い間違いないと信じていた人生であったが、

自分だったらそのような環境におかれるとどのようになるのだろうと

カンファレンスから、

わずかな時間であるが新人も交え互いが話しあう時間となった。

感謝!