吉田松陰
其(そ)の人なし
将(しょう)弱(よわ)くして厳(げん)ならず、教道(きょうどう)明(あきら)かならず、
吏卒(りそつ)常(つね)なく、兵を陳(つら)ぬること縦横(じゅうおう)なるを乱と曰(い)ふ。
是(こ)れ則(すなわ)ち将(しょう)と吏卒(りそつ)と、皆(みな)其(そ)の人なし。
正(まさ)に今時(きんじ)の弊(へい)なり。
一旦事あらば大乱立ちどころに至らん。
今、幸(さいわい)に事なくして、乱形(らんけい)暫(しばら)く伏(ふく)す。
危ういかな。
安政四年以降
訳
大将に能力がなく、威厳がない。
教えが明確でない。指揮官も士卒も平常心がなく、
防備態勢の立て方が混乱していることなどを乱という。これはつまり大将や指揮官、
士卒にふさわしい人がいないということである。
将に現在の弊害というべきである。
一旦、非常事態ともなれば、すぐに大混乱となるであろう。
今は、幸いにもそのような状況がまだおこっていない。
実に危ない状況というべきである。
松陰は激動の時代を生きました。
欧米列挙が日本の植民地化を企図し、武力をもって迫っていました。
これに対し、徳川幕府はなす術もなく権威を失墜、
国内は対立抗争が激化、日本全体が大揺れに揺れていました。
吉田松陰一日一言