ニーチエの言葉から新しい介護への学びへと
入居当時はせめて水だけでも・・と、本能によびかけた利用者さん、
在宅生活を本人、家族共々瀕死の状態で続けていた利用者さん、
認知症の進行と共に様々な環境が入り交じり、
病院へも通っていたが水も食べ物も何日も拒否し続けた利用者さん、
通所利用中で変化が理解できたこともあり、
ホーム主治医の協力を得ながら家族にはリスクを何度も繰り返し伝え、
ホームで対応させていただくこととなった。
正面から介護を支援すると妄想状態の中で、
体全身で手当たり次第の拒否があり誰もが近づけない状態であった利用者さん、
・ ・・・・・・・・・・・・・・・
食べる、飲むという本能を呼び起こすために、
本人の手となり、そっと背後から栄養を口に届けると飲み込み、
舐める行為があった利用者さん、
介護者は援助する手が震えそうになった喜びの瞬間!
時には、やっぱり無理なのか・・と、
不安に襲われた日々もあったが、
チームでのこまめな話し合い、ほんの少しの成功した利用者さんの姿から、
新たな意欲がチームの結束力となり「頑張ろう」という、
あきらめない介護から一人の人生が輝きだした。
今、利用者さんは、ぞうきんを側に置くと能動的にぞうきんがけが始まり自宅の回想に入る。
懐かしい幼かった娘さん達の名を呼び、
そんなときに、
「○○さーん♪」と愛らしく名を呼ぶと、
「はい♪よー♪なーんですかー♪」と歌うように言葉が戻る。
チームで、これほどの喜びはないと誰もが満面の笑顔になる。
ニーチエの言葉の中に本能は確実に人間の命を救う働きだけをするとあるが、
本能は大いなる救済の知性であり誰にでも備わっているものであり、
本能こそ知性の頂点にたち、最も知性的なものだといえると・・・
つまりニーチエの言葉から、
本能を呼び起こすと、知性が戻る。
知性がそこまでやってきたら、もう、手法はこっちのものと改めて実感することができた。
感謝である。