ヘルマン・ヘッセとエーデルワイスの人達
ヘルマン・ヘッセの文中に、人は高齢になると過ぎ去った長い生涯を独特の考察の仕方で回顧するものであると述べられている。
また、戦争はひとつの試練だったといった人がいるが人を進歩させ、力を与えるのは平和のみであるとも述べられている。
エーデルワイスの中には、戦争を体験した方がいるが、いまだに戦争の話題になると怒り「だまされたと」興奮して語り出す。
しかし、そんな高齢者も元気に山へ出かけていた頃の年齢を思い出すと意気揚々と”うさぎ”とりの話で紅潮してくる。
90代を過ぎた老体は、若いときのような動きはなく、長いすに横になるのが一番の幸せであるが、回顧する生き様の中から力を見いだし、その時の幸せを感じることができる。
私達介護者からの、能動的な言葉かけを待っているように・・・
苦しみの人生を忘れ、豊かだった人生に結ぶつく援助が一番のごちそうとなるような心につながるケアも忘れないで覚えておこう。
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このヘルマン・ヘッセの本は東藻琴特養理事長のS氏からいただいた。
以前、仙台センター図書館で手に取り感動した本であるが、購入にまで至らなかった。
ゆっくり、じっくり手にすると様々な角度から老いを描写している。
今は自分の身の丈で理解しているが、年齢を重ねる事に納得いく場面が多く出てくるのだろう。
つまり、その人の、その時のその思いにならなければ痛さも辛さも自分のものにする事は困難なのである。
せめて相手の、その時のその心の有り様を思い起こし、痛さと辛さをもう一度思い起こすことが、相手を思う心に近づけるのか・・・