在宅介護者の苦しみの葛藤
長期にわたり認知症介護をされてきた妻の悩みを、
デイサービス利用時から伺わせていただいていた。
夜の興奮や室内の歩行で妻は夜も満足に寝ることができず、
いつも疲れた表情で介護をされて来た。
ケアマネを中心として医療との連携を行い、
服薬の変更もするが妻の服薬勧めを拒否し、
デイサービス利用時に服薬を一日3回終了するために、
通所の送迎時間を早目と遅めに設定し在宅支援を娘さんも巻き込んでさせていただいていたが、
縁があり、ようやく入居するに至ることができた。
妻の力で在宅生活をされていた方であるが、その妻に一番強いのが本人であり、
認知症という病気は夫婦のみならず家族の形態をも壊してしまう病気である。
前回、申し込み順が回ってきても「自宅でもう一度頑張る」と介護を継続した妻であるが、
今年に入りケアマネから限界に来ていると再度の入居確認があった。
先日やっと入居することができたが自宅ではアルコール依存が高かった本人であるが、
今は焼酎割りと称するジュースとサイダー割を自宅と同じ時間に提供し、
タバコへの執着から禁断症状のような症状が現れたが、
電子タバコを渡すとほっと何事も無かったように過ごされ、
スタッフと五目並べを行い時を過ごされている。
精神的なダメージから面会にまだ来ることができない妻の為に、
昨日はリーダーと共に自宅へ訪問し安堵する情報を伝えさせていただいたが、
妻の長年の不眠からの疲労は、
言葉で表すことができないほどの心と身体へのダメージとなり「寝ても寝ても寝足りない」、
「自分は冷たいのか・・と思うけどまだ会えない・・・」との言葉から多くの蓄積されたご苦労が伝わってきた。
訪問からの帰り際、玄関先で「風邪を引くから」と妻が外へ出るのを止めたが、
「迷惑をかけていないか・・夜は寝ているのか」と、
あれほど自宅で夫の暴言に苦しめられて来た妻であるが、
夫のことを気にし次から次と話されていた妻から優しさと苦しみが交差している姿を垣間見ることができた。
人生の終盤に多くの人に襲ってくるこの病気は、
身内の精神的なサポートと、関係者の密なネットワークからの連携がもっとも重要であることを妻の言葉からも認識することができた。
施設へ入っても家族への支援が大事であることを教えていただいている。