ひとつの言葉を追求(センター方式より、いもこ汁)
子供の頃「人とお話をするときには、目を合わせて話しなさい」と、
幼いときから教えられてきましたが、
認知症の人と視線を合わせ言葉を大事に聞かせていただくと、
その人独自のルーツを発見することがあります。
Aさんの普段の会話であります。
●子供の頃に母親が”いもこ汁”良く作ってくれたよ・・(本人の言葉)
○北海道では、あまり耳慣れない言葉である。もしかすると、 Aさんの両親に関係するところなのかな(介護者の気づき)
・・そのときのAさんの表情・・
笑顔で落ち着きのある懐かしい表情が見られた。
・・・情報からカンファレンス、すぐにサービス支援と直結・・・
○Aさん、そのいもこ汁作ってもらえるかな・・教えてほしいんだけど
●だれでもつくれるべさ・・いいよ。
○乗り気である。
○Aさんの言うとおり材料を手配する。
手際よく包丁さばきも軽々とリズム的。
とても、活性化している。
○能動的な動きが随所に見られる。
美味しそうにできた「いもこ汁」を利用者の皆さんからも褒めていただけている。
味も抜群である
●美味しい!私の親もそういえば作ってくれたわ!(他の利用者Bさんの言葉)
○Aさんは嬉しい表情と達成感を得ているようである。(介護者の気づき)
センター方式の手順が頭に入ると、シートにわざわざ落とさなくても日常の支援の中で組み立てていくことができます。
(個別ケアプラン)
3ヵ月後や変化時のモニタリングで評価をしていくと、
より明確に変化(良くも悪くも)Aさんの心身を捉えることができ、
まとめのEシートから、
次回の個別ケアプラン作成に心身の低下している部分の反映や力の展開へと発展することができます。
(再アセスメント学習より)
北海道は、日本各地の伝統や風土が混入しています。
この、ひとつの料理名から幼い頃の両親からいただいた愛情や祖母にまつわる話など、
本人に関する貴重な情報が得られることがあります。
認知症になると女性の多くは、名前を伺うと昔の旧姓に戻り人生で一番幸せだった時代へ戻ることがあります。
認知症という病気になり、頭の中がもやもやと混沌としている中に、
せっかくならば、昔の豊かな時間を思い出していただきたいものであります。
・・★・・
「 芋煮」にあたる名称には地域差があります。
いもこ汁を調べてみると弘化2年、
山形城主秋元但馬守が館林に移封の際「芋を煮て別離の宴を催した」とあります。
△(家族の言葉)を、お聞きすることでより詳しい情報が入ります。
家族の言葉は、遠方の兄弟、姉妹がより確実にもっていることがあります。
遠方から面会に来たときや葉書や手紙等で、
本人の直筆でお便りをだすことも関係性を深めるチャンスでもあります。
・・・★★・家族支援・・★★・・
本人の何気ない言葉をお伝えすることで家族も幼い昔を思い出します。
そこには元気だった母親からいただいた愛情も一緒に思い出すことができます。
言葉をつなぐことは、認知症という病気で親子の絆が消え入りそうになっているその家族に、
明るい光があたり家族の絆を深める働きとなることもあります。
介護は尊い仕事であり命と共に生きる尊厳を届ける働きにもなるのです。
情報提供 北見エーデルワイスデイサービス 伊藤介護士