お盆と現世からの回向
多くの年長者にとってお盆は特別なものと印象づいて記憶の奥にあります。
働きながら住み込みで技術を教えていただく職人見習いにとっては、
今のように土曜や日曜の休日は考えられず
自宅へ帰ることができるのは盆と正月の数日間でありました。
過去の生活歴から組み立て
教えていただく姿勢で日本の昔の働きをお聞きすることも
介護現場ならではの孫と祖父の擬似家族の交流の時間となります。
記憶がなくなることの不安な日々の暮らしの中で、
エピソード記憶からの
過去の自分を思い出すことで
自分を取り戻す時間となります。
教えていただくという素直な気持ちからの純粋な受容から
意味のあるお盆を迎えることとなりますね。
目の前のご利用者一人にでも、
笑みのある豊かな時間を届けることで
介護する側の徳を積む心の貯金となります。
お盆に実家へ帰ることができず、
お墓参りにもいけないときは
今は亡き天にいる大事な人や先祖に心の貯金を届けましょう。
お釈迦様も説かれている”現世から送る回向”は、
亡き人にとってお供物を上げること以上の
力となることなのでしょうね。
そう考えると
お盆に働かせていただく意味はしっかりあるのですね。
合掌