認知症介護は、新しい認知症介護へと入っています。
新しい入居者様
きよちゃん・・・
(この名前でお呼びすると一番表情がよいので家族様も了解です。)
入居する1週間前から毎日、遊びに来ていただきました。
入居されて昨日で3日目です。
認知症の重度の方の身になると、自分はどこへ連れて行かれるのか・・・
知らない人達ばかりの所へ行くのは、私達でも嫌なことです。
サービスを導入するまでの、心の慣れる時間が必要なのです。
記憶は忘れても感情はしっかり残るのですから・・・・
家を出たくない利用者様のデイサービス時も、何度も何度も心地良い感情を残すためにスタッフは自宅へ伺います。
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担当するケアマネさんも、頃合いがわかりデイサービススタッフとあうんの呼吸で何度も足げに通っていただけるようになりました。心あるケアマネさんが一人二人と増えて来ています。
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一人の人生の中に突然入らせていただくのですから、丁寧に慎重に、無礼なく入らせていただかなければ玄関で拒否されます。
介護は新しい認知症介護に突入しています。
きよちゃんは、2日お泊まりいただき、ようやく3日目で笑顔がでてきました。
笑顔を引き出した誘因は、遊びです。
ストーリーの世界の年齢は20代でした。
競争のかけっこを行い、立ち止まったときに”究極のへんてこりんな顔”をお見せしました。
すると、自然の心からの笑顔が出て「いやーだー」と笑っています。
側にいた幸子さんも笑っています。
スタッフも「あ、笑っている」と・・・
笑顔が、みんなの窮屈だった心を、ゆったりと心地良い世界へと導いてくれました。
きよちゃんの世界を壊さないように、そっと蒸しパンを置くと遊びの中で自ら掴み食べていただけました。
のどかわいたしょ・・・どうぞ・・と湯飲みを置くと・・
すいませんと丁寧に頭を下げ、お茶も飲んでいただけました。
会話も成り立たないきよちゃんでしたが、きょちゃんから男性利用者に蒸しパンを手渡してもらいました。
男性から、すまんね!ありがとうと・・・丁寧な言葉が、きよちゃんの心を潤しました。
迷子の世界から住みよい町を探し歩いていた、きよちゃんに少しだけ灯りがともった町へ入ることができつつあります。
今日も、どんな遊びをしようかと思案中です。