あんぱんと別れ
昨日、看護と介護の資格を併せ持つスタッフの
お客様に対する“熱い思い”に心震える感動を味あう場面となり、
同時に千利休の“茶の心得”の一節が介護現場と重なった。
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介護という支援をさせていただく場であるからこそ、
誰にでもある、
その人の生きてきた人生を知り
共感し受容させていただくと尊敬の心が自然と湧き出し、
お茶や料理の一品まで心を入れ、
高価ではなくても、
その料理が感動や喜びをいただける器は「どれがいいのだろう」と探す働きや、
一人では行けなくなったトイレへの誘導であっても、
「どのような言葉かけが心に響き同行していただけるのだろう」と、
お客様が遠慮がちになる場面こそ、
“さりげなく、型にはまらず”目の前のお客様だけへの個別の支援を考えることや、
その一つの行動からの変化を把握し更なる満足度を高めていく。
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お客様の立場で物事を考えてみると、
高齢になり夫や友人、ご近所の人等との別れがあり、
「独りで新たな集う場へ来訪する決断に至るまでも相当の決断があったのだろう」と
デイサービスへの出会いまでの経過を“統一したケアを目指す”ために話し合うと、
どのように楽しんでいただき、
機能訓練と感じさせない動きを自ら引出し、
病気の進行を抑制しようと努力するスタッフ等は自然と意識が一つになり、
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ご家族等に支えられていた独居生活から
施設入所の為、最後の日となった昨日は、
1階から大きな歓声がこだまし
「ずいぶん今日はにぎやかだなー」と思っていた矢先、
「今日、○○さんがデイ最後の日なので先日、大変喜んでいただいた
“あんぱん”を作らせていただきました」と、
お客様には見せない寂しさは笑顔の奥には、
今までふれ合うことができたご縁への感謝と、
寂しさの一筋の涙と「今日で終わりなんです」という報告と共に口元が震えていた。
そう話し終わると、
スタッフは話す前の毅然とした表情に戻り
階段を下りていく音が一段ごとにプロの足取りに変わっていた。
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ありがたい。