固定概念を破る時期の到来
現場では、認知症と診断され多くのことを忘れるようになり
日常生活が困難となり会話も難しくなっても、
驚くように「昔し話」を吸収し感動の涙を流す場面がある。
先日から実習に入っていただいていた他施設の方も
その力に驚き、
さっそく現場で取り入れたという。
いまや「認知症の人、何もわからない人」と十束一絡で考えると、
大事な残されたその人の人生の終末を無にしてしまうように思われる。
また、それは家族の介護からの悩みであっても
「大丈夫・・」と痛さに克服できる人と、
「もう、自分がだめになりそう」と多くは初めての体験の人とでは、まるで痛さの内容が違ってくる。
藁にもすがる思いで認知症の本や多くの情報から自分もそのように行おうと思っても、
個々の対応からの結果は千差万別であり、
「上手くいかない」と思うときほど、
介護者は休息をとり、リラックスできる時間と、
“介護者の存在を認める支援”が何よりも一番、
痛んだ心を修復でき、
在宅介護の継続の決め手となる場面が多い。
ある短期入所を利用するご利用者は微動だにしないほどの静けさの中で
「日本の昔話」の語りに集中する時間となる。
これは一連の「動の時間」から落ち着きを取り戻す時間であるが、
利用中に訪れた家族も驚く時間となる。
入居されているご利用者へも良い意味での刺激が入り、
進行したアルツハイマーを患う人であっても会話にはならないのだが
互いが活発な交流となり両者とも笑顔である。
認知症のグループホームの短期ショート解放は、
現在の軽度認知症も入れると認知症の人の数は約800万人となり、
施設利用に対する今までの固定概念を破ることも、
大事な地域を支える大きな支援の一つと考える。