介護現場の教育は楽しい
親として未完成だった自分を振り返り今、現場を通しその反省からまだまだ学校の臭いがぷんぷんと漂うスタッフの人つくりをさせていただいている。
育成は手間がかかるが、手抜きをせずに全力で指導を行うと誠に成長過程が手に取るように確実に伝わってくる。
現場の優しい母達には、一コマずつの研修期間が終了した時期「危険時以外は絶対手を出さない事」と「手出し無用の令」を出し失敗を怖れずチャンスを与えることとした。
難しい認知症介護が出来たときには、自然とみんなでエールを送る。
新卒男子は、実習気分が抜けず連絡不十分で本気で叱られ「半べそ」をかき自ら反省文を数少ない漢字で書き出してきたが、
高校時代と社会の違いを肌で感じた今、目つきが変わり業務に対する探求心が拡大し、
更には利用者様の利用前の組み立てをセンター方式から把握後、当日のサービスへと導きリーダー達の評価も“うなぎ登り”である。
16才も入社後まもなく17才となり、お客様へお出しするお茶の出し方等、家庭では全く行うことが無かったであろう。
丁寧に「ようこそいらっしゃいました」と心を込めてお出しするお茶のスピードは「トン」と音がするようでは全く心が届かない。
馴染みの客にも練習台であることを伝え、「ありがとう!良く入れてくれましたね。でも、もう少しゆっくり丁寧にお出しすると、もっとおいしくなるね」と笑顔で届けると、
「すいません。気をつけます」と明るい笑顔が返る。
仕事に心を入れる教育が五感を豊かにする働きとなる。
認知症ケアには五感の働きが重要となる場面が多い。
学校教育で“日の目”がでなかった子、通いたくても通えなくなった子、何でここにいるのだろうと自分の存在が見つからなかった子、
共通していることは相手の全力での指導を真っ直ぐ受け止められる素直さを兼ね備えていること。
何が本物で何が偽物か、見抜く力は早期に味わった痛い経験から身についていること。
自分達の働きが利用者様に受け止めていただき認めてもらえることが出来ること、
人生は始まったばかりである。
生きる力、生きる意欲、人生を真正面から正々堂々と強かに立ち向かう勇気を介護現場で養っていただきたい。