どこへ行く認知症ケア

エーデルワイスでは、二宮金次郎物語を午後からの「静の時間」に週に1度程度朗読会を開いています。

開始前まで、中核症状から何度も居室と廊下を繰り返し,出たり入ったりしていた方等も約1時間近く集中して聞くことの出来る力は、いったいどこから来ているのでしょうね。

利用者様の多くは学校の校門のそばに立っていた銅像と結びつく方が多くいらっしゃいます。二宮金次郎から、なつかしい友人や先生を思い出し若かった親の姿もそこに存在するのです。

 私達も懐かしい友人と出会うと忘れていた学生時代を思い出し、いくつになってもその頃呼んでいた愛称で呼び合うことがありますね。

スタッフとの馴染みの関係から安心が生まれ、安心が思い出を連れて豊かな時間が訪れます。介護の場面で、そっと黒子のように思い出す事が出来る支援が必要なのです。

せっかく今まで認知症ケアに力をいれてきた国の認知症対策も、今回の介護保険改定のような「つぎはぎだらけの介護報酬」では、各関係者にとって本当にこれで良いのでしょうか。特養のように「勝ち取った!」とPRしているけれど、いずれは療養型病床群のような形に老健・特養・GHもなるのでは、と疑心暗鬼になる先の見えない報酬体系です。

報酬のあるべき姿とは、なかなか認められない介護現場の黒子に光が当たり、その結果安心する介護が導き出され、まさに国が導き出す2015年施策と結びつくものではないでしょうか。介護報酬を上げるために介護福祉士を1カ所に集めさせるような方向性を導き出す施策は止めてもらいたいです。声を出せない認知症の人達にとって虐待に近い仕打ちとなるでしょう!!

                                 
施設長