1冊の本との出会いから「聞く」ことの意味の大切さを知る
「人はなぜ勉強するのか」という視点を、まず科学の勉強の視点で捉え、
理科の勉強で問題を解くために実験をしている生徒には、その生徒が実験をしている事象をよく観察し、
構造や原理を突き止めるまで、側でじっくりと考える方法を重んじる事が大切だといいます。
しかし、その生徒の母親が交通事故にあったならば直接誰かが、その生徒に言って伝えなければなりません。
これが、“出来事の世界”であり出来事の世界は歴史の世界であり、
歴史の世界とは“人の生命が生きて働く実人生そのもの”で、そこには「聞く」ということが重要な意味を持つと作者は言っています。
その時の「聞く」態度により、いい加減に聞いていたのでは母親と生徒の運命に大きな差が出てくるものです。
「聞く」ときの態度については何度も塾での学びにも出てきますが、
その時の学びと更なる1冊の本との出会いは、同じ「聞く」という手段の中にも「聞き方」の度合い、集中力、聞き方の大切さを知ることとなります。
“自らの魂へ呼びかける問いかけ”を内面に向かって問うことは、字面だけではない心を動かされる場面と転じていきます。
これは介護支援専門員の立場においても、様々な職業の人達の立場においても、
利用者からの「聞く」作業の中にこのような「聞く」意味をしっかりともったならば、
まさに利用者の実人生における運命を賭けた行動の選択を迫られる場面となります。
話を「聞く」姿勢から利用者、家族へわかりやすく伝える言葉を工夫し、
どのように伝わったのか自身の魂に問いかけることも大事なことであると思います。
利用者、家族の運命が自分も含めて介護支援専門員等の力量によって差が出てくるのでは困るからです。
人はなぜ勉強するのか、
自分の聞き方、伝え方により大きく人生を賭けた、その家族の歴史が動こうとしている事に気づいたならば、資格だけでは通用しない事は十分理解できるからです。
また、作者は聞いてほしい声が二つあるとも言っています。
“一つ”は、自分の内なる天性の声、つまり天から授かったかけがえのない尊いあなたの独特の持ち味、
それが何であるかじっくり聞いてほしいと・・・
“もう一つ”は、自分の天性を少年時代から青年時代にかけて100%発揮し歴史的大変革となった明治維新の先駆けとなった吉田松陰の生涯について、
この二つの声をじっくり聞くことが「人はなぜ勉強するのか」という基本的な問いに答えを出していくと岩橋文吉さんはおっしゃっています。
何度も、何十回も「聞く」ことの大切さを届けていただいていた自分でしたが、
同じ本を読んでも、同じ内容を聞いても内なる声を聞こうとしなければ人は行動することが出来ないことを思い知らされました。
参考、引用文献
日本図書館協会選定図書
人はなぜ勉強するのか
著者 岩橋文吉